テクノロジー

AUTM 2026 Annual Meeting に参加します!

恵泉国際特許事務所(Keisen International Patent Office)および、技術移転・知財ライセンシングを専門とするジャパン・テクノロジー・グループ(Japan Technology Group)は、2026年2月に米国シアトルで開催される AUTM 2026 Annual Meeting に参加いたします。本会合には、両組織を代表して矢口太郎弁理士が出席し、大学・研究機関・企業・投資家など、世界各国の技術移転関係者との情報交換および意見交換を行う予定です。

AUTM Annual Meeting は、大学発技術の社会実装、国際的な技術移転、知的財産の活用・収益化を主題とする、実務志向の国際会合です。本会合への参加を通じて、恵泉国際特許事務所およびジャパンテクノロジーグループは、日本の大学・研究機関・企業の皆さまに対する国際的な知財・技術移転支援を、より一層強化してまいります。

AUTM Annual Meeting とは

AUTM Annual Meeting は、AUTM(Association of University Technology Managers)が主催する、大学・研究機関における技術移転(Technology Transfer)および産学連携、知的財産の事業化をテーマとした年次国際カンファレンスです。米国を中心に、世界各国から大学・研究機関の技術移転機関(TLO)、企業の研究開発・オープンイノベーション担当者、スタートアップや投資家、特許・ライセンス・知財戦略の専門家が一堂に会します。

本会合の大きな特徴は、単なる情報共有や事例紹介にとどまらず、実際の技術ライセンス、共同研究、事業化につながる具体的な議論やネットワーキングが行われる点にあります。学術色の強い学会とは異なり、「研究成果をどのように社会に届け、どのように価値へと転換していくか」という実務的視点を重視していることから、大学発技術の活用や国際的な知財戦略を検討する関係者にとって、極めて重要な機会となっています。

AUTMについて

AUTMは、大学・研究機関における技術移転および知的財産マネジメントの専門家によって構成される、国際的な非営利団体です。1974年に米国で設立されて以降、大学の技術移転機関(TLO)を中心に、研究機関、病院、政府系研究所、企業、投資家、知財・ライセンスの専門家など、世界中の多様な関係者が参加する組織へと発展してきました。

現在、AUTM は技術移転分野において最も影響力のある国際団体の一つとされており、大学発技術の実用化・事業化を担う実務家コミュニティの中核的な役割を果たしています。その活動は米国国内にとどまらず、欧州やアジアを含む国際的な連携にも広がっています。

矢口弁理士は、過去この会合に15回以上参加しています。

大学発技術の社会実装を支える AUTM の役割

AUTM の最大の目的は、大学や研究機関で生み出された研究成果や発明を、社会に還元し、経済的・社会的価値へと結び付けることにあります。そのため、単なる知的財産の保護にとどまらず、特許ライセンス、共同研究、スタートアップ創出といった実践的な技術移転活動を重視しています。

具体的には、技術移転実務に関する教育プログラムの提供、契約交渉や評価手法に関する知見の共有、成功事例や統計データの蓄積・公開などを通じて、技術移転の質と効率を高める取り組みを行っています。AUTM は、技術移転を「個別の経験や属人的なノウハウ」に依存させるのではなく、国際的に共有可能な実務知識として体系化する役割を担っています。

AUTM Annual Meeting の実務的な特徴

AUTM Annual Meeting は、AUTM の活動の中核をなす年次イベントであり、教育・ネットワーキング・実務連携のすべてが高度に融合した場です。多数のセッションやワークショップでは、特許ライセンス交渉、技術評価、スタートアップ設立、産学連携の最新動向など、実務に直結するテーマが扱われます。

また、本会合の大きな特徴として、参加者同士の1対1ミーティングや非公式な交流の機会が豊富に設けられている点が挙げられます。オンラインのネットワーキングシステムはAUTM Connect(https://connect-v3.jujama.com/AUTM-2026-Annual-Meeting)と呼ばれるもので、これにより、単なる情報収集にとどまらず、実際の技術導入やライセンス、共同研究へと発展する具体的なネットワークが行われます。AUTM Annual Meeting は、「議論する場」であると同時に、「実務が動き始める場」として位置づけられています。

日本の大学・企業にとっての AUTM の意義

近年、日本の大学・研究機関や企業においても、研究成果の社会実装や国際展開への関心が高まっています。一方で、海外、とりわけ米国や欧州における技術移転の実務や契約慣行は、日本とは異なる点も多く、十分な理解や経験がないままでは円滑な連携が難しい場合もあります。

AUTM Annual Meeting は、こうした国際的な技術移転実務を、現場の当事者同士が直接学び、意見交換できる貴重な機会です。日本の大学・研究機関にとっては、自らの技術を海外でどのように位置付け、活用していくべきかを考える上で重要な示唆を得る場となり、企業にとっては、海外大学の有望技術や連携先を探索する実践的な場となります。

恵泉国際特許事務所およびジャパンテクノロジーグループでは、AUTM への参加を通じて得られる知見とネットワークを、日本の大学・研究機関・企業の皆さまの国際的な知財・技術活用支援に活かしてまいります。

AUTM 2026 参加の目的

恵泉国際特許事務所およびジャパンテクノロジーグループが AUTM 2026 Annual Meeting に参加する主な目的は、国際的な技術移転および知的財産活用の実務動向を把握し、日本の大学・研究機関・企業の皆さまにとって実効性のある支援につなげることにあります。

具体的には、米国および欧州の大学・研究機関における技術移転の最新トレンド、ライセンス契約や共同研究の実務的な考え方、スタートアップ創出を含む研究成果の社会実装モデルについて、現場の実務家から直接情報を得ることを重視しています。また、海外の大学や企業、投資家とのネットワークを構築し、日本の技術や知的財産を国際的に活用するための具体的な連携の可能性を探ることも重要な目的の一つです。

これらを通じて、単なる情報収集にとどまらず、日本の知的財産・技術を取り巻く課題を国際的な視点から再整理し、より実践的で持続可能な技術移転・知財戦略の構築に役立てていくことを目指しています。

AUTM 2026 参加を通じてご提供できるサポート

AUTM 2026 Annual Meeting への参加を通じて得られる知見やネットワークを活かし、恵泉国際特許事務所およびジャパンテクノロジーグループでは、以下のような支援を提供してまいります。

大学・研究機関向けには、海外での活用を見据えた特許戦略や出願に関する助言、欧米企業の持つ技術ニーズの調査、大学発技術の国際ライセンスの支援、権利行使の支援を行います。特に、米国・欧州の技術移転実務を踏まえた、マーケティング、契約や交渉の考え方について、具体的な事例に基づくサポートを重視しています。

企業向けには、米国・欧州・日本の大学や研究機関が保有する有望技術の探索・評価支援、海外大学との共同研究やライセンス交渉における実務サポートを提供します。研究開発戦略と知的財産戦略を一体として捉えた支援を行うことで、実効性の高い技術導入・事業化を目指します。

さらに、技術移転や知的財産の収益化に関するコンサルティングとして、保有特許や研究成果をどのように活用すべきか整理したい場合や、海外展開を前提とした知財戦略を検討したい場合に、国際的な視点からの助言を行います。日本と海外の制度・実務の違いを踏まえた橋渡し役として、具体的かつ現実的な支援を提供してまいります。

現地での情報交換・意見交換について

AUTM 2026 Annual Meeting 会期中、恵泉国際特許事務所およびジャパンテクノロジーグループを代表して参加する矢口太郎弁理士は、大学・研究機関、企業、技術移転関係者の皆さまと、技術移転や知的財産活用に関する情報交換および意見交換を行う予定です。

大学発技術の国際的な活用、海外大学・研究機関との連携のあり方、研究成果の社会実装に向けた知財戦略などについて、実務的な観点から意見を交わす機会としたいと考えております。AUTM の場を通じて、相互理解を深め、将来的な協力関係の可能性を探ることを目的としています。

お問い合わせ

AUTM 2026 Annual Meeting に関するご質問、または本会合で扱われるテーマに関連する事項につきましては、下記よりお問い合わせください。内容に応じて、後日あらためてご連絡させていただきます。


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COVID-19パンデミックとテクノロジー

日本でも非常事態宣言が出されるに至った新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック。感染者数は世界で180万人を超え(4月13日現在)、多くの生命が奪われる今世紀最大のパンデミックになっている現実に驚愕するばかりです。ちなみに、新型コロナウイルスの名前は「SARS-CoV-2」、「COVID-19」は感染症の名前(病名)です。

”Social Distancing(社会的距離)”と“Stay Home(外出自粛)”の日常化という生活の変化、そしてそれによる”Working from Home(在宅勤務)”の普及が半強制的?にもたらされ、パンデミック後の私たちの働き方にも確実に大きな影響を与えるのではないかという予感がしています。将来歴史を振り返った時に 、2020年という年がある意味ライフスタイルのパラダイムシフトが起きた年として記録され、私たちの記憶にも明確に刻まれているのではないかと思わずにはいられません。

さて、ご存知のように歴史上には数多くのパンデミックが人類を襲ったことが記録されています。記憶に新しい所ではH1N1新型インフルエンザでしょうか、、。過去のパンデミックと現在進行中のCOVID-19パンデミックとの違いは何か?一つは、グローバル化が急速に進展したことによって世界中に一気にウイルス感染が拡大する環境が生まれたということ。さらに、もう一つ過去の事例とは大きく異なる点は、テクノロジーの発達です。スマートフォンの普及、AIやビッグデータ、IoTの実用化など近年の技術トレンドが今回のパンデミックにおいて、例えば医療機関での診断や治療、政府の公衆衛生機関での感染拡大の予防などに活用されています。

そこで今回は、現在進行中のCOVID-19パンデミックに係る事象から、パンデミックにおけるテクノロジーの活用について、モニタリング、サーベイランス、ディテクションという切り口で整理してみました。

1)モニタリング

IoT技術の発達とその普及により、世界の主要な公衆衛生機関においてほぼリアルタイムに近い形でウイルス感染症拡大の様子が正確にモニタリングされ、その情報を集約し公開するプラットフォームも提供できるようになりました。代表的なものは、皆様もチェックしているかも知れませんが、、、”Worldometer“とJohns Hopkins University’s Center for Systems Science and Engineeringが提供する“COVID-19 Map”、です。

Worldometerは、COVID-19の感染状況をいち早く世界に伝えることを目的に、システム開発者と研究者、さらにボランティアによって運営されています。各国政府が発表する公式データを直接収集し、さらに各国のローカルメディアの記事からも情報収集することで、データの速報性と正確性を保っているということで、英国政府などの政府機関、ファイナンシャルタイムズやニューヨーク・タイムズなどの主要メディアの公式発表データとして採用されています。

Worldometer https://www.worldometers.info/coronavirus/

一方、Johns Hopkins Universityが提供するCOVID-19 Mapは、米国CDC、WHO、欧州CDPC、中国CDCなど感染症に関わる公的機関から直接データを収集し、感染者数、死者数などの詳細なデータを見やすくマッピングしたダッシュボードが特長です。非常にわかりやすいインターフェースなので、私も定期的にチェックしています。

Johns Hopkins University “COVID-19 Map” https://coronavirus.jhu.edu/map.html

Johns Hopkins University https://coronavirus.jhu.edu/map.html

2)サーベイランス

ウイルス感染症拡大の予測や、予測に基づく対策のための情報提供に貢献しているのが、ビッグデータを活用したサーベイランス技術です。ウイルス活性のモデリング研究のサポートや、感染症予防対策を加速させるために、各国政府の医療政策担当者の的確な判断を促す情報の提供にビッグデータが活用されています。

例えば、グローバルな人の動きをトラベルという観点からデータ化して情報提供しているOfficial Aviation Guide (OAG)。また、感染拡大が真っ先に始まった中国では、Tencentによるモバイル情報を活用した位置情報サービスの活用や武漢市の交通局のデータ活用などの事例があります。これらは、ある特定地域の人の動きからウイルス感染の状況(=人の動き)をリアルタイムにトラッキングし、そのデータを感染拡大の予測に活用しています。さらに、つい先日AppleとGoogleがCOVID−19の濃厚接触者を検知して通知する技術を共同開発するとのプレススリリースがありました。これはスマートフォンのBluetooth機能を活用して、ウイルス感染者が見つかった場合、本人の同意を得た上で過去14日間の濃厚接触の可能性があった人々に通知するという仕組みのようです。この2社が連携することで全世界のスマートフォン所有者のほぼ全員を網羅できることになるので、今後の実用化に期待がかかります。

Official Aviation Guide (OAG) https://www.oag.com

Tencent Combat COVID-19 https://www.tencent.com/en-us/responsibility/combat-covid-19.html

Apple & Google Partner on COVID-19 contact tracing technology https://www.apple.com/newsroom/2020/04/apple-and-google-partner-on-covid-19-contact-tracing-technology/

公的機関によるサーベイランス技術の活用事例としては、WHO(世界保健機構)の事例があります。WHOが持つ様々な情報ソースから集まるデータを集約して解析することで、今後感染症の拡大が懸念されるアフリカでの感染予防に必要な情報をアフリカ各国政府に提供し始めています。また、公衆衛生教育とコミュニケーションという切り口でサーベイランス技術を活用しているシンガポールの事例は、日本のメディアでも取り上げられているので知っている方も多いかと思います。シンガポール政府は、SNSプラットフォームのWhatsAPP(Facebook)と提携して、政府からの感染症に関わる情報を国民一人一人に迅速且つ的確に届ける仕組みを確立しています。

Gov.sg WhatsApp Subscription https://www.form.gov.sg/#!/5e33fa3709f80b00113b6891

3)ディテクション

「Test, Test, Test」と、片っ端からPCR検査をするように呼びかけたWHOテドロス事務局長の声明を覚えておられますでしょうか?感染拡大を防ぐには、感染者をいち早く見つけて隔離することだと言う提言だったわけですが、この感染者の発見と診断の加速に活用されている技術が、 AI・ディープラーニング技術です。

人類にとって全く未知のウイルスである新型コロナウイルスを正確且つ低コストで検査するというニーズに応えることには困難も伴います。例えば、最初に感染が拡大した中国の武漢市では特に一般病院において、当初はテストキットが不足しており、さらに、テストしても普通のインフルエンザとCOVID-19を正確に区別するだけのスキルを持った人材の不足から大混乱を起こしたそうです。同様な事態が想定されるのが、公衆衛生や医療環境が未だ発展途上であるアジア諸国や中東、アフリカの国々です。これらの国々では、さらにPCR検査や抗体検査のコストが高いことも大きな障害となっているようです。

このような状況において、検査の代替となり得る診断方法やスクリーニング手法が求められていました。そこで、注目されたのがディープラーニングとAI技術です。COVID−19が最初に広がった中国では、陽性患者に関する膨大なデータが蓄積され始めており、このデータを診断に使えないかという試みが既になされています。従来は、肺癌の診断用に開発されたAIアルゴリズムをCOVID−19用に最適化して、陽性が疑われる肺炎症状を発症している患者の診断に活用する試みがなされています。患者の初期的なスクリーニングでの実証試験では、特にオーバーワークとなっている医療従事者の診断業務の負荷軽減に役立っていると報告されています。北京にあるスタートアップInfervision社により開発されたこの診断技術は、中国国内の34の病院に導入され、既に32,000件以上の診断に活用されています。

Infervision (Beijing) Co., Ltd https://global.infervision.com

さて、今回は技術の活用という切り口でCOVID-19パンデミックを見てみました。終息の兆しが全く見えない現状にあって、ワクチンや治療薬の実用化はもちろんですが、今後も様々な新技術の開発や既存技術の応用によって、一人でも多くの命が救われることを祈念し、一日も早いパンデミックの終息が訪れることを期待しつつ、閉じたいと思います。